社会

繰り返される「ウソ」

統計の「ウソ」を見破る法を記した古典的名著にダレル・ハフによる『統計でウソをつく法』(How to Lie with Statistics, by Darrell Huff, 1954)があります。

この本のポリオに関する部分を読み直してみると、今と同じ状況ではないか、と思わされます。(以下、日本語版からの引用です。)

■「はじめから無意味な大実験」 (p. 62)

社会的圧力やせっかちなジャーナリズムによって、まだその効果が証明されていない治療法が試みられることがしばしばある。特に、統計学的な根拠がぼんやりとしていても、それに対する要請が強い場合などはなおさらである。何年か前にはやったカゼのワクチンの場合でも、また最近の抗ヒスタミン剤の場合でもそうであった。こうした効果のない治療法が結構よく行われているというのは、カゼというのが気まぐれな病気であって、理屈通りにはいかないからである。時がたてば、カゼなど自然に直る[ママ]のだ。

■ポリオ大流行の真相 (pp. 135-136)

ポリオが大流行した1952年という年は、医学史上でも最悪の年であったという暗い話を聞かれたことがあるかもしれない。この結論は、みんながみんな、その年は、今までにないほど多くの患者がでたといっていることが証拠となってできたものであった。

ところがである。専門家たちが患者の数字を追求していってみると、実際はそれほどでもなかったという事実が2、3明らかになった。

その一つは、1952年には、この病気にかかりやすい年齢の子供たちが非常に多かったために、罹患率は例年並であったにもかかわらず、患者数は記録的な数字にならざるをえなかったということである。もう一つは、ポリオに対する一般の認識が高まったために、医者に診断してもらう回数がふえ、したがって、軽症患者も記録されるようになったということである。最後に、ポリオ保険が増額されたり、小児マヒ全国基金からの援助額がふえるなど、財政的な刺激要因があったことである。以上の三点を考えると、ポリオが新記録に達したという考え方はかなり疑問になってきたが、その疑問は、死亡者数によって確かなものとなった。

興味深いのは、罹病率や患者数などよりは、死亡率あるいは死亡者数の方が、流行性感冒の影響をはかる尺度としては、より正確であることがしばしばあるという事実だ。これは、ただ、死亡に関する数字の方が、医者からの報告にしろその保存にしろ、はるかに正確だからである。つまりこの場合には、ちょっとみには影響のすべてを表すと考えられる数字より、その結果だけを表す数字の方が正確だというわけである。

要するに

(1) 対象者が他の年より多かった
(2) 認識が高まって診断数が増えた
(3) 財政的刺激要因があった

ということで、結論としては

(4) 死亡者数だけで判断すべきであった

ということです。

今回のコロナ騒動は

(1) 感染症の診断に使ってはいけないPCR検査を使用した
(2) 感度(CT値)を過剰に設定して陽性者数を増やした
(3) 単なる陽性者を実際に発症している感染者と区別しなかった
(4) 死因を問わず、PCR検査をして陽性ならば「コロナで死亡」とした
(5) 財政的刺激要因(PCR検査の推進、コロナ患者が出た場合の補助金など)

という手順で水増しされましたが、それでも

(6) 死亡数は2020年度は3,444件です。これは、以下の数値と比べてどうでしょうか?

・がん:約38万件
・心疾患:約20万件
・肺炎:約8万件
・誤嚥性肺炎:約4万3千件
・自死者:約2万1千件

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai20/dl/gaikyouR2.pdf

https://www.npa.go.jp/safetylife/seianki/jisatsu/R03/R02_jisatuno_joukyou.pdf

21世紀の「信じがたい統計のウソ」として歴史に残ることは間違いないと思います。(歴史が改竄されなければですが・・・)

 

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