社会

「情報活用能力育成」益々の必要性

2021/09/20

情報活用能力:情報及び情報手段を主体的に選択し、活用していくための個人の基礎的資質

昭和61(1986)年4月に出された臨時教育審議会第二次答申では「情報活用能力」は「読み、書き、算盤」と並ぶ基礎・基本として位置づけられ、学校教育においてその育成を図ることが提言されました。

https://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/others/detail/1318326.htm

その提言を受け、情報教育に力を入れる施策が実行に移されはじめましたが、平成22(2010)年にはその点を前面に出した「教育情報化に関する手引」が公表され、その趣旨に沿った新学習指導要領の元で情報活用能力育成を目指した教育が推進されています・・・のはずですが、新型コロナ騒動が始まってからというものマスコミはもとより政府が発信する情報までが、この精神に大きく反しており、教育の危機の様相を呈しているように思います。

コロナワクチンに対して慎重な意見の多くを「デマ」と断じる河野太郎コロナワクチン担当大臣の主張に対する反論は既に多くの方が書かれており、その多くはあまりに自明なので繰り返しませんが、多少の「情報活用能力」を要するワクチンと流産に関するデータについて考えてみます。

河野大臣は2021年6月24日のブログで「アメリカで行われた3958人の妊婦を対象とした研究で、流産や早産、先天奇形が起こりやすいということがないことも確認されています」と書いていらっしゃいます。

ワクチンデマについて

 

出典は明記されていませんが、「3958人」という具体的な数値から、2021年4月に権威あるとされる医学誌の一つThe New England Journal of Medicineに掲載された“Preliminary Findings of mRNA Covid-19 Vaccine Safety in Pregnant Persons”と題するShimabukuro Tomさんらの論文のようです。

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2104983

あれ? タイトルに「Preliminary Findings(暫定的調査結果)」とあります。これだけで「確認されています」とは言えないような論文であることが分かります。

実際、結論は「今回の調査では明白な危険性は見出せなかったが、長期的な調査が必要である」と締め括られています。

Preliminary findings did not show obvious safety signals among pregnant persons who received mRNA Covid-19 vaccines. However, more longitudinal follow-up, including follow-up of large numbers of women vaccinated earlier in pregnancy, is necessary to inform maternal, pregnancy, and infant outcomes.

「確認されています」と断言するのは言い過ぎでしょう。

さらに、論文を見ていくと、流産に関して「???」と思う部分が出てきます。複雑な話を簡略化して述べれば、「論文のデータでは、妊娠安定期に接種した人と安定期前に接種した人を一緒にして結論的な数値を出しているが、安定期前の接種者の流産率はすごく高い」ことがデータから読み取れます。

※詳細は以下の通りです

論文p. 2280、Table 4の下の注:ワクチンを接種した827人の妊婦データに基づく。700人(84.6%)は妊娠第三期(9ヶ月計算で最後の3ヶ月)に一回目を接種。流産は104件(12.6%)あったが、そのうちの96件(92.3%)は13週より前(妊娠第一期(9ヶ月計算で最初の3ヶ月)。

本来なら妊娠第一期に接種した人の全数が記されているべきですが、なぜかその数値は書かれていません。しかし、全体から妊娠第三期に接種した人数を引いた127人(827人-700人)が妊娠第一期か妊娠第二期だったことまでは分かります。妊娠第二期の方の人数は分かりませんが、「分子を妊娠第一期に流産した方の数、分母を妊娠第一期か第二期に接種した方の数」として計算すると96/127 = 75.6%という数字になります。実際には分母から妊娠第二期の方を引かないといけないので、数字はもっと高くなるはずです。

妊娠第一期の流産率がどのくらいか、という点ですが、ある研究では26.2%という数字が挙げられています。

https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/14767058.2021.1932809

経産婦さんを対象とした別の研究では43%という数字が挙げられています。

https://bmcpregnancychildbirth.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12884-017-1620-1

女性の年齢、人種、生活習慣、など様々な要因が関係するので一般化は難しいのですが、当該の論文で示されているデータからは「妊娠第一期の接種は控えた方がいい」と結論づけられるのではないでしょうか。

情報活用能力の必要性を益々感じる昨今です。

ちなみに、“COVID-19 pandemic effect on early pregnancy: are miscarriage rates altered, in asymptomatic women?” と題する論文では、新型コロナに無症状感染した妊婦さんの妊娠第一期の流産率は通常の妊娠の流産率と変わらないことが報告されています。

https://link.springer.com/article/10.1007/s00404-020-05848-0

※ワクチンデマ発言に対する専門家からの真っ当な反論としては松田政策研究所の松田学さんと対談されている井上正康先生の動画がおすすめです。

https://www.nicovideo.jp/watch/1625648706

※※はじめしゃちょーのYouTubeでは「アメリカでは2億回打ってなくなった人は0」と発言されておられましたが、VARES (Vaccine Adverse Event Reports)の数字は無視してしまっていいのでしょうか・・・

https://www.manabinoba.com/edu_watch/017812.htmlよりお借りしました。

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