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エリコ・ロウ氏の新刊『Brain Plasticity:自らを変える脳の力』

気鋭のジャーナリストで数々のセラピーを実践されながら精神世界の探究を続けていらっしゃるエリコ・ロウさんが「脳」に関する最新の科学的研究の知見を紹介しつつ、そこから得られる「よりよく生きるためのヒント」を紹介した『Brain Plasticity:自らを変える脳の力』を出版されました。

重要なポイントが太字で記されているだけでなく、そのエッセンスが各章の最後の1ページでまとめられていて、とても分かりやすく編集されています。「脳細胞は一度壊れたら二度と再生しない」という、一般にも広く知られた説を「定説」として受け入れていらっしゃる方にとっては、本書で紹介されている数々の研究は大きな驚きだと思います。

内容が大いに参考になるのはもちろんですが、1969年に『ネイチャー』誌で発表した論文において視覚が目だけによるものでないことを示したもののオカルト扱いされ無視されたバック・イ・リタ医博の話(pp. 42-43)や、コロンビア大学の大学院生だった時、当時の脳科学の常識に挑戦しようとしたため大学を移らざるをえず、その後も独立の研究所で研究を続けざるをえなかった、CI療法(Constraint-Induced Movement Therapy)の開発者エドワード・トーブ博士のエピソード(pp. 45-48)などを知ると、医学の世界を俯瞰して見ることができ、現在の「常識」を盲信することがいかに危険なことかを痛感させられます。多くの方にとって大いに参考になる素晴らしい本だと思います。 

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