メディアの報道責任
大東亜戦争には日本としての、人類史上でも稀な、勇壮な大義がありました。しかし、当時の国際情勢とその中での日本の国力、戦争が始まってからの戦局の分析と戦術などを客観的に分析すれば、無謀と言わざるをえない点も多々ありました。国民全体としては、その「無謀さ」を無謀と感じず、一種の集団ヒステリー状態で戦争に突入し戦い続けてしまった、そんな側面は否定できません。そして、その責任のかなりの部分が当時のマスメディア(特に新聞)報道にあったことはよく知られています。
戦時下にあり、言論統制された中で報道しなければならず、やむをえなかった。確かに、それも理由のひとつではありますが、マスコミ側が嬉々として戦争を煽り、民衆を扇動した、という点も大きかったと言わざるをえません。
当時の『朝日新聞』の誌面を復刻して解説した『朝日新聞の戦争責任』を読むとそのことがリアルに理解できます。華々しい戦果を華々しく報じるのは当然ですが、
・国、米英に戦線を布告す
・米海軍に致命的大鉄槌
・我無敵海軍の大戦果
・ル [ルーズベルト] 大統領泣言
・確保せよ "南の富"
・敵軍、我が軍門に降る
戦局が怪しくなってからも、虚偽報道を交えて、戦意高揚に努める姿勢が目立ちます。
・けふ帝都に敵機来襲、九機を撃墜、わが損害軽微 [虚偽]
・ミッドウェーの戦果拡大 [虚偽]
・南太平洋方面戦線、新作戦の基礎確立、ブナ、ガダルカナルより転進 [撤退]
・アッツ島に皇軍の真髄を発揮(中略)壮絶・夜襲を敢行玉砕 [全滅]
・印度国境へ進撃、国民軍と協力、英印軍を殲滅 [虚偽]
・屠り去れこの米鬼、仇討たでおくべき [サイパン玉砕戦の後]
・レイテ湾急襲戦果、空母戦艦輸送船等55隻を屠る、上陸の敵三箇師団を激し撃 [虚偽]
デマへの注意をうながす報道も目立ちます。
・噂は信じるな、発表とニュースで粉砕
・積極的に吟味、一家揃ってデマ粉砕へ
・正しい批判力で噂を鵜呑みにするな
戦時中の報道はひどかったんだなぁ・・・と昔話にしてしまえないような事態が現在進行中です。新型コロナウイルス騒動に関する報道です。
・過去最多の55人感染・・・
・日曜日では過去最多・・・
・全国感染者数は1,681人で月曜日では最大値となり・・・
・火曜日に発表された感染者数としてはこれまでで最多の・・・
・1日では最多の新規感染者・・・
・「第5波」では最多の感染者が出ました・・・
・〜以降では最多の水準で、その増加幅は3日連続記録更新・・・
・緊急事態宣言解除後では最多の89人が確認された・・・
人数が順調(?)に増えている時には単純に「過去最大」「過去最多」と報じていましたが、伸びが鈍化すると「〇〇曜日では」「○月○日以降」「緊急事態宣言解除後では」などといった条件をつけ、とにかく「最多」「最大」を強調する報道がなされ続けました。
また、単なるPCR検査陽性者を全て「感染者」と呼び、新型コロナウイルの罹患者がいかにも蔓延しているかのような印象操作を行いました。(陽性者のうち発症した者 [感染者] は5%程度。)
ワクチンの接種が始まってからは「ワクチン接種推進」に全力をあげ、慎重派、否定派を「デマ信奉者」と断じる報道が目立ちます。
・悩ましきワクチンデマ拡大
・ワクチンデマ、信じるのはどのような人たちか
・ワクチン巡るデマ、なぜ広がる? 不安によるストレスが生む
・新型コロナワクチンデマの嘘
・ワクチンデマと科学的常識
・なぜ拡散? ワクチンデマ発信源を追跡
記事を読むと、確かにデマとしか思えないようなものも含まれていますが、流産を誘発する可能性のように、データの裏付けがあるものもあり、ワクチンに慎重な言説を一刀両断に「デマ」と断じているようなものも少なくありません。
さらに、コロナによる「死」やコロナの「後遺症」については詳細に報じられる一方で、ワクチンの副反応や接種後の死亡についてはほとんど報じられません。中日の木下雄介投手の訃報を伝える『スポニチ』のニュース・タイトルが公表後すぐに以下のように変えらましたが、ワクチンの危険性に触れる記事は極力排除されているようです。
「中日・木下雄介投手死去 27歳 7月6日練習中に倒れ意識不明に 6月にコロナワクチン接種していた」→
「中日・木下雄介投手死去 27歳 7月6日練習中に倒れ意識不明に 育成からはい上がった5年目右腕」
戦時中のメディア報道が現在批判されているように、後年、現在のマスメディア報道に厳しい目が向けられるのは間違いないと思われます。