社会

利益相反の開示が必要

研究者の間では常識であっても、一般にはあまり知られていない(と思われる)研究上の手続きに「利益相反(Conflicts of Interest)の有無の公表」があります。

ある会社から資金援助を受けた研究者が、その会社に有利な研究結果を捏造して発表する、そういった事件が起こらないようにとの予防措置です。

このような措置が取られるということは、研究上の不正が横行しているという悲しい現状があるからで、高血圧の治療薬ディオバンに関する不正事件は記憶に新しいところでしょう。

※ちなみに、日本は研究上の「捏造大国」という不名誉な称号を受けていて、論文撤回ランキングの常連です。この記事を執筆している時点でのThe Retraction Watch LeaderboardではY.F.氏の183本が堂々の1位、それに3位のY.S.氏(103本)、4位のJ.I.氏(79本)、7位のY.S.氏(53本)が続いています💦)

資金がなくては研究ができませんから、資金援助を受けること自体はやむをえないことですが、資金援助を受けた研究を発表する際には「◯◯社から報酬を受けた」のように情報を開示することになっています。このような仕組仕組みがあることで、研究者が不正にデータを操作する抑止力になりますし、研究を受け取る側も「もしかしたら◯◯社の意向が [知らず知らずのうちに] 反映された研究結果になっているかも・・・?」と少し引いた目で成果を評価することができます。

社会的に影響の大きい研究であればあるほど、このような透明性の確保は大切になってきますが、メディアに登場する学者の利益相反については問題にされることは少ないようです。

一刻も早く、研究を公表する時のような利益相反情報開示が望まれるところですが、当面の間は自衛するしかありません。

私たちの健康に直結する医療の分野では制約会社から医療関係者への支払い情報を開示している「Tansa」というデータベースがありますので、そちらを使ってみてはいかがでしょうか。

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