調査

コロナウイルス感染「拡大」について

「コロナウイルスの感染拡大が止まらない!」連日のように地上波のメディアは報じていますが、そうなのでしょうか。厚生労働省が発表している概況のデータ(グラフ)(2020年7月25日現在)を元に検証してみました。(概況グラフの元になったきちんとしたデータがあるとより確実なのですが、見つけられなかったので、グラフのみを用いました。)

陽性者数は確かに7月になってぐんぐん増えているように見えます(発表される「陽性者数」と「感染者数」の数値が違っていたりしますが、両者の区別はよくわかりません。とりあえず、概況で使われている用語を使っておきます。)。

しかし、併記されているPCR検査実施人数も同じように増えていて、検査数が増えたから発見された陽性者数が増えただけにも見えます。

しかも、陽性者数のメモリは最大1,000人、検査者数は18,000人と18倍の開きがあるので、数値を揃えてグラフにして見ると、次のようになりました(黒い部分が検査者数、青い部分が陽性者数です。二つのグラフの数値を合わせるために画像を引き伸ばしたので文字が見にくくなってしまっています)。

数値データではないため正確な割合は出せませんが、「検査数が増えると発見される陽性者数が増える」という傾向を表しているだけにすぎないように思います。

しかも「陽性者=発症者数」ではないので、もし「陽性者」を恐れる必要があるとすれば「発症していない人からも感染し、発症する」ということが確立されていることが前提です。しかし、この点はWHO会長が「まれである」と発言して非難を受けたことからも分かるようにまだ議論の別れるところであるようです。

さらに、京都大学の上久保教授がおっしゃるように、もし日本人の重傷者・死亡者の少なさが別の種のコロナウイルスに多数が感染していたからだとすれば、また、病気を引き起こす可能性のあるウイルスが身の回りには無数に存在することを考えれば、新型コロナウイルスだけを徹底的に排除しようとする姿勢は長期的には危険かも知れません。

最後の二つの段落で書いたことは推測のレベルですが、データからはっきり言えるのは、「感染者が増えている!」と煽るような報道は非常にミスリーディングであること(少なくとも、総検査者数に占める割合を報じるべき。できれば、陽性者数と発症者数の割合も報じてほしい)、また、日本疫学会・日本公衆衛生学会・日本感染症学会・日本環境感染学会の四学会が政府に要望書を出したように、より正確・詳細なデータの収集と公表が行われ、しかもそれが一般にも簡単に活用できるようになることを願います。

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